- 開業届って本当に提出しないといけないの?
- 開業届を出さないとどうなるの?
このような疑問を持っている、自宅ネイルサロン開業を目指す方に向けて解説します。
「開業届は出さないといけない」
「開業届を出していない人もいる」
周りの人も言ってることが様々でイマイチわからない、そんな方の疑問解消の一助になれると思います。
冒頭の疑問に対する回答は次のとおりです。
開業届は出さなくても問題ないけど、出さないと損が大きい
このあと詳しく解説していきます。
- 開業届を出さないとどんな影響があるか?
- 開業届を提出するメリット・デメリット
- 開業届を出さない方が良い人
参考になれば幸いです。
開業届を出さないと、どんな影響があるの?
新たに事業を始めるときに提出する届出書類、それが開業届です。
正式名称を【個人事業の開業・廃業等届出】といいます。覚えなくていいです。
開業届は『事業の開始の事実があった日から1ヶ月以内に提出する』とされています。
店舗や事務所を持っているかどうかではなく事業の開始有無が条件なので、自宅ネイルサロンでも開業届は必要です。
開業届は出さなくてもよい
さっそく前後の文脈に矛盾がありますが、開業届は出さなくても問題はありません。
というのも、提出義務があるにも関わらず罰則規定はないためです。
ただし、開業届を出さないと損が大きい
- 開業届は原則、出さないといけない
- とはいえ、提出しなくても罰則規定はない
ここまでをまとめると、ルール的には『開業届、出さなくてもよくね?』という位置づけになります。
「じゃあ出さなくていいか」というのは非常に浅く、損得や及ぼす影響から『開業届を提出するか否か』をしっかり判断していかなくてはいけません。
判断要素はいろいろとありますが、最も大きいのは青色申告の存在によるもの。
- 青色申告は税制面を中心にめちゃくちゃメリットが大きい
- 青色申告は開業届を出した事業主しか使えない
開業届を出さないと青色申告のメリットを受けられない
影響範囲の中でいちばん大きな要素は『青色申告をできるようになる』という部分。
ほかにも大小、影響はあるのでメリット・デメリットとして解説していきます。
開業届を提出するメリット・デメリット
- 青色申告できるようになる 超重要!
- 就労証明として利用できる
- 屋号名義の銀行口座を開設できる
- 賠償責任保険や小規模企業共済の加入に必要
- モチベーションが上がる
- 失業保険がもらえない
- 扶養から外れる場合がある
- めんどくさい
サロンオーナーとして経営をしていくのならば、感性だけで選択せず、合理的に考える能力も必要になってきます。
「出さないといけない」⇔「出さなくてもよい」の2極ではなく、
- コストがどれくらいか
- どんな効果が見込めるか
といった論理的な視点を持って考えられるようにならなければいけません。
開業届を出すことのメリット・デメリットについて、もう少し個別に解説をしていきます。
- メリットの部分はどれくらい影響があるのか
- 自分に当てはまるデメリットはあるのか
しっかりと見極めて判断しましょう。
メリット①:青色申告できるようになる
青色申告は開業届を提出したうえで「青色申告しますよ」という申請書を出さなければできません。(同時に提出してもOK)
確定申告の申告方法の1つ。
大きく2つに分けられて「白色申告」と「青色申告」があり、青色は白色に比べて記帳が手間な分、多くのメリットを受けられる。
青色申告にはメンドクサさを補って余りある多くのメリットがあります。
- 白色より税金を安くできる超大きい!
- 赤字になってしまった場合、翌年の税金を安くできる
- 家族への給料を経費でできる上限がない
- 30万円未満の固定資産を経費にできる
- 家賃、電気代、インターネット料金などを経費にできる
齟齬なく理解するには税理士など『その道のプロ』から学ぶことをオススメしますが、誤解を恐れずザックリいうと『青色申告にした方が多くのお金を手元に残せるよ!(税金が少ないよ!)』ということ。
開業届を提出しないと、青色申告承認申請を行うことができません。
メリット②:就労証明として利用できる
開業届の控えは就労証明として利用できます。
『仕事してます』の証明書類として、開業届の添付が必要とされるケースが多くあります。
特に子ども関連で影響が多く、
- 保育園に預けたい場合
- 幼稚園で延長保育を利用したい場合
- 学童保育を利用したい場合
このようなシーンで必要になる場合があり、就労証明が認められるかどうかで優先順位や利用料金などに影響を与えます。
※園や自治体によってルールは異なります
将来当てはまりそうな方は、選択肢をしっかり持っておくために開業届を提出しておくことをオススメします。
メリット③:屋号名義の銀行口座を開設できる
事業を行うのであれば、プライベートとビジネスで口座やクレジットカードはわけるべきです。
法人格がない個人事業主は専用口座を作ることはできないのですが、金融機関によっては屋号付き名義の銀行口座を作成することができます。
一般的にはネイルサロンでいうサロン名のこと。
【関連記事】屋号付き口座を作るかどうかは自由ですが、開業届を出さないと作ることができません。
メリット④:賠償責任保険や小規模企業共済の加入に必要
- ネイルサロン用の商品もある『賠償責任保険』
- 小規模事業主が退職金として利用できる積立制度『小規模企業共済』
これらの必要性はここでは割愛しますが、加入するのに開業届の写しを求められるケースがあります。
保険だけに限らず、事業者向けのサービスを利用するシーンは多くあります。
それらを使う条件となりうる、というだけでも開業届のメリットは大きいです。
メリット⑤:モチベーションにつながる
開業届を出すと事業主として気が引き締まる!!
いや、これ大きいです。
開業届を提出することのリスクはほぼありません(一部デメリットとして後述)。
「やるぞ!!」と考えている人には、大きな大きなメリットです。
デメリット①:失業保険をもらえない(大変)
サロン開業に向けて前職を退職したあとに失業保険をもらおうと考えている場合、開業届を出すタイミングや手続きの順序を押さえないと手当や給付金をもらえません。
ケースによって条件も変わるので、かなり難しく理解できていません(汗)
『以前は開業届を出す=失業保険をもらえない』でしたが、2014年以降ルールが変わりました。
時期や地域によってルールが異なる場合もあるので、当てはまりそうな方は調べてみてください。
デメリット②:扶養から外れる場合がある
旦那さんの扶養に入っている場合、要注意。
開業届を提出すると、収入額問わず健康保険の扶養から外される場合があります。
保険組合によってルールは異なるので、当てはまりそうな方は総務などに確認してもらうことをオススメします。
デメリット③:めんどくさい
まぁまぁ小さくないデメリット、というかメンドクサイことが理由で開業届を出していない人も多いはずです。
たしかにめんどくさい。が、そんな方に朗報です。
開業freeeという開業届作成サービスを利用すれば、めちゃめちゃ簡単に提出まで終わります。
無料かつスマホでもOK!
使い方や流れを下記記事で解説しているので、気になる方はチェックしてみてください。
開業届がよりわかる質問・回答集
開業freeeを利用すれば、めっっっちゃ簡単です!
【関連記事】開業freeeの使い方
前述したとおり、開業届の提出義務はあれど提出しなくても罰則義務はないので、出す出さない・出すタイミングは(実際問題)自由です。
とはいえ、利益が出てない時点から青色申告のメリットはあるので、最初から開業届と一緒に提出することをオススメします。
所得が基礎控除額(38万円)に満たない場合はしなくてもOKです。
※2020年度に確定申告のルールが変わりますので、詳しくは国税庁や税理士さんのサイトを確認してみてください。
青色申告承認申請書を出しても、白色で申告することは可能です。
【関連記事】青色申告と白色申告の違い
開業届は出さなくても問題ないが出した方が良い
- 利益をちゃんと出せた場合も
- 赤字になってしまった場合も
税制上かなり有利になる青色申告をするために、開業届は出した方が良いです。
店舗を構えない自宅ネイルサロンであったとしても、です。
あらためて開業届を出すメリット・デメリットを確認してみましょう。
- 青色申告できるようになる 超重要!
- 就労証明として利用できる
- 屋号名義の銀行口座を開設できる
- 賠償責任保険や小規模企業共済の加入に必要
- モチベーションが上がる
- 失業保険がもらえない
- 扶養から外れる場合がある
- めんどくさい
これらを総合的に踏まえて、感情ではなく合理的に『開業届を出すべきか』判断していきましょう、イチ事業主として。
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※開業届と同時に青色申告の申請届出も一緒に作成可能
最後まで読んでいただきありがとうございました。