『青色申告』と『白色申告』の違いについて解説します。
という理由で白色で確定申告している個人サロンオーナーも多いですが、このイメージは昔のルールから来るもの。今は違います。
- 青色申告と白色申告の違い
(事前の届出、帳簿、添付書類など) - 青色申告の5つのメリット
- 個人事業主はどうするべきか
参考になれば幸いです。
青色申告と白色申告の違い
確定申告には大きく分けて「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。「青色申告」も申告方法により「青色申告(10万円控除)」と「青色申告(65万円控除)」の2種類に分けられます。
- 白色申告
- 青色申告(10万円控除)
- 青色申告(65万円控除)
節税効果、事前申請の有無、帳簿の種類、添付書類にそれぞれ違いがあり、他にも青色申告だけ利用できる様々なメリットがあります。
白色申告 | 青色申告(10万円控除) | 青色申告(65万円控除) | |
---|---|---|---|
事前の届出 | 不要 | 必要 | |
帳簿 | 法定帳簿 | 簡易帳簿 | 複式簿記で作成した帳簿 |
添付書類 | 収支内訳書 | 決算書(3枚) | 決算書(3枚)+ 貸借対照表 |
節税効果 | なし | あり(最大10万円) | あり(最大65万円) |
青色申告は事前の届出が必要
青色申告をしようと思ったら「所得税の青色申告承認申請書」なるものを提出しなければなりません。
書類は上記国税庁のページからダウンロードできます。手書きせずとも、Web上で編集したものを印刷できます。2ページ目に書き方の説明があります。
提出時期に注意!
- 開業日が1/1~1/15:3/15までに申請
- 開業日が1/16~:開業日から2か月以内に申請
- 3/15までに申請
令和2年/2020年分(1/1~12/31)の確定申告分から青色にしたい場合は、2020年3月15日までに申請しましょう。
これから開業する場合は開業届と一緒に提出するのがオススメです。
開業freeeを使えば、スマホでも簡単に提出用書類を作成できます(無料)
申告の大変さは「白色」≒「青色10万」<「青色65万」
以前は所得が300万円を超えない方は白色申告なら帳簿が不要でしたが、平成26年以降は記帳が必須となりました。
白色申告と青色申告(10万円控除)の難しさはほぼ変わらない
以前のルールの名残からか「白色申告が簡単」というイメージが未だ強く残っていますが、白色申告と青色申告(10万円控除)で帳簿付け・確定申告の難しさはほぼ変わりません。
であるにも関わらず、青色申告なら節税効果ほか色々なメリットがあります。白色申告には税務調査されやすいという意見もあり、リスクすらあります。
「事前の届出が面倒くさい」というだけで、白色で申告し続けるのはもったいないなぁと思います。
青色申告(65万円控除)はグッと難しくなる
青色申告(65万円控除)は帳簿の様式が『複式簿記』となり、一気に難しくなります。会計ソフトを利用しないと簿記知識がない方にはハードモード。
その分、得られるメリットはかなり大きいので挑戦する価値も大アリです。クラウド会計ソフトを利用することで、会計知識がない方でもハードルをグッと下げられます。
まったくの初心者であれば、freeeがいちばんわかりやすいです。
青色申告の5つのメリット
- 節税効果がある(最大65万円控除)
- 開業時に嬉しい赤字繰り越し
- 家族への給料を経費にできる上限がない
- 30万円未満の固定資産を経費にできる
- 家賃、電気代、インターネット代などを経費にできる
メリット①:節税効果(最大65万円控除)
青色申告の最大のメリットが節税効果。簡易帳簿なら最大10万円、複式簿記で作成した帳簿であれば最大65万円の特別控除を受けられます。
税金は所得に応じて算出されます。青色申告なら控除(収入を引いてくれる)によって、税金額が安く抑えられます。
メリット②:開業時に嬉しい赤字の繰り越し
青色申告は3年にわたって赤字を翌年以降の黒字と相殺することができます。
※純損失の繰越し控除」
去年:50万円の赤字
今年:200万円の黒字 の場合・・・
『200万円』に対して税金を計算
『150万円』に対して税金を計算
※前年の50万円の赤字と相殺(200万円 – 50万円)
青色申告の方が税金が安くなる
開業当初は設備投資もあって赤字になるケースも多いです。
「経営が波に乗ってから」ではなく開業初期こそ、翌年に損失を繰り越せる青色申告のメリットを大きく受けられます。
メリット③:家族への給料を経費にできる上限がない
配偶者など家族に対する給与は白色申告でも経費にできますが、上限額(86万円)が設定されています。
※専従者控除
青色申告であれば上限額がありません。
※青色申告専従者控除
メリット④:30万円未満の固定資産を経費にできる
本来、1年以上利用する備品で10万円以上のものは減価償却をするのがルール。(使用期間にわたって費用を分割して計上していく)
※パソコンやカメラなど
青色申告の場合、30万円未満のものを購入した場合は一括で経費に計上できます。
ネイルサロンでも、MacBookやカメラなど10万円以上する備品を買うケースはあります。その年の経費として計上できるのももちろん嬉しいですが、減価償却なる「メンドクサイこと」を考えなくて良いのも大きいです。
メリット⑤:家賃、電気代、インターネット代などを経費にできる
自宅サロンの場合や、自宅でも事務所として諸業務を行う場合、自宅の固定費などの一部を家事按分して経費計上が可能です。
- 家賃
- 電気代
- インターネット料金
- 通話代 など
計算や記帳がめんどくさそうですが、会計ソフトを利用すれば「どれくらいの割合を事業用に使っているか」登録するだけで、自動的に必要経費として割り出してくれます。
個人事業主も『青色申告』を選択すべき
- 確定申告は『白色申告』と『青色申告』の2種類
- 青色申告は事前の届出が必要(簡単)
- 青色申告も控除額『10万円』と『65万円』の2種類
- 帳簿の種類で変わる
- 『白色申告』と『青色申告10万円』の難度はほぼ同じ
- 『青色申告65万円』はちょっと大変
- 青色申告は節税面をはじめ、メリットたくさん
いわずもがな、節税面も含めて一番メリットが大きいのは『青色申告65万円』です。確定申告は大変になりますが。
会計知識がなくてもクラウド会計ソフトを利用すれば、複式簿記を作成可能。クレジットカード連携で日々の記帳も負担をかなり減らせます。スマホでもできます。
まったくの初心者であれば、freeeがいちばんわかりやすいです。
参考:青色申告の5つのメリット
事前の届出こそ必要ですが、白色で申告するメリットはまったくありません。「個人事業主だから白色で・・・」と、盲目的に考えるのはヒジョーにもったいない。
これから開業するのであれば、青色申告の届出も一緒に出すのがオススメ。損失の繰越しもできるので、仮に初年赤字でも翌年に相殺できます。
開業freeeを使えば、スマホでも簡単に提出用書類を作成できます(無料)
最後まで読んでいただきありがとうございました。